車番503

  

久々の京都。
慎太郎さんのお墓・・・なんて残ってないのにね。
どうしても、懐かしくて来てしまう。
待つこと200年。
まだ慎太郎さんだと認識出来る人は現れないけれど、きっと生まれ変わって来てくれるならここ京都だと―そう信じてる。



大学もせっかくの休講だし、ゴールデン・ウィークは好きにさせて貰うわ〜
・・・なんて、直江と景虎の側に居るとロクなこと無いのよね。
長秀だって長時間一緒に居たくないタイプだし。
偶には(いつもだっけ?)一人旅もいいと思った。

京都駅のバス・ターミナルは、流石に混んでる。
バイクは、今修理に出してしまって結局新幹線で来るハメになったのよね。
故障の原因だって、結局は怨霊調伏のせいじゃない。
・・・もう考えるのはよしましょ。

「この時期はどこも混んでるわよね〜。でも、せっかくだから偶には観光したいしー」
独り言を呟きながら、そうだ、金閣寺でも見て景気づけでもしようかしら。
と、ちょうど運良く「金閣寺・北大路バスターミナル2xx」のい○ず車が目の前を通り過ぎていった。

「あ、そのバス待って!」
必死に追いかけたけど、丁度停まるところだったみたい。
列に並んで後方から乗り込んでみると、内装が変わっていることに気づいた。
「へえ、バス暫く見ないうちに変わったわね」
前は御所車や桜のデザインが施されていたシートは、懐かしいローバックシートになってる。
乗り込むところもノンステップになってて、時代の流れを感じたものだわ。
「やっぱり車椅子の人とか、大変だものね」
関心しながら、後部座席の端に座って外を眺める。
あれ、ガラスまでグリーンっぽくなってる。

町並みの持つ雰囲気は、そう変わったとは思わないけどやっぱり面影が消えていくところもあるわね。

足を組み直しながら、ふと床を見ると御影石模様。
・・・誰かさんたちを連想させるわね。
あー、今日くらいは止めやめ!

頭をぶんぶん振っていたら、もう金閣寺に着いちゃった。
せっかく町並みの風景を楽しんでいたのに。
直江の奴、帰ったらおしおきだからね。

心の中でぶつくさ呟いて、一日乗車券を機械に通してバスを降りる。
車掌さんに「ど〜も〜」なんて声をかけたら、ちょと赤くなってた。
まだまだ私も捨てたものじゃないわね。

バス停で「う〜ん!」と背伸びをしてみたら、風が気持ちよくていい気分。
振り返ってバスを見送ったら側面に『503』のプレート。

ナンバープレートに『京都2xx・503』なんてあるんだもの。
まいっちゃったわ。
あーあ、アイツの誕生日だったのよね今日は。
だからしつこく頭に浮かんできたんだわ・・・。
まあ、合点が行って良かったけど。ちょっと憎たらしいわね。

直接「おめでとう」を言うのも今更だから、携帯からメールを送ってあげた。
直江と景虎と両方に。
なんてナイスな綾ちゃんなのかしら♪

我ながら笑えるけれど、ま、いい天気に免じて許してあげましょ。


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