■俺好み



「直江!俺が照兄から貰った手紙、何処やった!?」

先ほどからソファで新聞を読んでいた直江は、俺の方を見るなりまたすぐに新聞に目を落した。

信じられない―。

犯人は絶対コイツのはずなのだ。
昼間小太郎が届けてくれた照兄からの手紙。
また読み返そうと枕元のデスクの引き出しに入れておいたのに。

端正な横顔を睨み付けたままの俺の視線に、直江はやっと顔を上げた。

「おい、直江―」
「今日が『ふみの日』だからと言って、わざわざ手紙で貴方の気を引こうとしているのが気に食わない」
「あのなあ」

照兄は、俺の実の兄だぞ―と云おうとしたところでふいに唇に噛み付かれた。

「んっ・・・」
腰を強く引き寄せられて、ソファに押し倒される。
俺の下敷きになった哀れな新聞紙が、クシャリ、と音を立てた。
流されるまま―もしくは望みどおり―に衣服を剥かれる。
直江はいつも持ち前の独占欲を、ここぞとばかりに見せ付けてくれる。
そんな強引さが、腹立たしくも愛しい。

結局、コイツは『俺好み』なのだ―。



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2003.07.28

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高耶さんの趣味も大概・・・(ry